米満麻子
陽だまりのような心地の良さが宿るうつわ
現在、岐阜県関市で日々作陶されていらっしゃる米満麻子さん。
京都精華大学卒業を控え、進路について考える中、中学生の頃から趣味で続けてきた陶芸は、自分の中でこれから先も飽きることなく続けていけると思い、本格的に学ぶため、京都府立陶工高等技術専門校に入学。陶芸の技術を身につけられます。
2013年、数多くの作家を輩出した石川県能美市の窯元「九谷青窯」に入社。
九谷青窯時代には、米満さんの感性から生み出さるカラフルポップなキュートさと和の落ち着きのある伸びやかで柔らかさを合わせ持つ色絵の作品の数々は、たくさんの方を魅了してきました。
2018年の春、独立。
独立後は、岐阜県土岐市に移住。九谷青窯時代に定番として制作されてきた作品を手離し、作っていくうつわをより良いものにしていけるようにと、原料から探し始められます。
「私がこれまで京都、石川、岐阜と住処を移してきたのは、土が採れるところ、原料を得やすい産地を選んできたから。
私の呉須が濃いのは、濃くても釉薬を弾かずに描ける印判用の呉須がこの地にあるお陰です。」とおっしゃる米満さん。
今立つ土地から、出来るだけ近いところで作られた原料を使うこと。
九谷焼の産地に居たら九谷の土と顔料を使い、美濃焼の産地に行けば、そこで採れる土と顔料を使われます。
綿々と産地を支えてきた人達と顔を合わせて話せる距離、産地に寄って立つことを大切に。
今ここにある原料で、出来ることを探すので、何が出来るか分からないという面白さがあるとおっしゃいます。
「温故知新」=故きを温ねて新しきを知る。
大切に受け継がれてきた技術を現代のうつわに落とし込みながら制作することは、九谷青窯時代の恩師である秦氏から学ばれたこと。
形や模様をルーツから知ることは、歴史的な背景も知ることができて興味深く、新たな作品を生み出すうえでとても参考になるとおっしゃいます。
米満さんの作品にみられる使いやすい造形と手触り口当たりの良いさらりとした質感。
ふわっとそっと寄り添うような、米満さんならではの柔らかなタッチの絵付け。
良いところを受け継ぎながら、使う人のことを想い、自身の制作の長所を生かし、真摯に制作に取り組む姿勢から生まれる作品は、私たちにどこか安心感とわくわく感を与えてくれます。
春の陽だまりのような、温かな風にのって運ばれてきたような心地よさを感じる米満さんの作品。
「ひとりになって、からだを休めて、お茶を飲む。
徐々に回復していくその手の中に、お気に入りのマグカップがあればいいな、と思う。
好きなものの変遷は、そのまま自分史で、若いうちには選べなかったものも、歳を重ねて手に取れるようになる。」とおっしゃる米満さん。
その時の自分自身の暮らしに合った形や、大きさ。
好みも時によって変わることもあるけれど、米満さんの作品から共通する、伝わる優しさであったり、暮らしの道具としての使いやすさは、いつもずっと変わらず私たち使い手のそばに寄り添ってくれるように思います。
慌ただしく過ぎる中でも、毎日の食卓で、ほっと安らげる時をお届けできますように。



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