吉村喜代美(十二月窯)
可愛らしさの中に、大人っぽい雰囲気のあるうつわ
大阪芸術大学卒業後、京都府立陶工高等技術専門校で学ばれ、石川県九谷焼の窯元・九谷青窯を経て、独立。
現在、大阪府三島郡島本町にて、作陶されていらっしゃる 吉村喜代美さん。
石川県九谷焼の磁器土でつくられたうつわは、丈夫で、匂いの染み込みもなく、日常のうつわとして大変使いやすいものとなっています。
長い歴史の中で、私たちの日常で愛用され続けられている理由でしょう。
そんな九谷焼の磁器土を使い、作陶された吉村さんのうつわたち。
抜群の使いやすさはもちろんのこと、九谷ならではの伝統ある雰囲気を残しつつ、吉村さんの世界を可愛らしい絵付けで、上品に表現されています。
青白い磁器の素地の上に描かれた絵付けは、九谷の呉須を用い、手書きと印判技法で描かれています。
モチーフは、カモメやちょうちょ、馬やふくろう、リンゴや家といったキュートなものばかり。
なのに、甘すぎない雰囲気なのは、絵付けの色味を抑えることで、可愛らしさの中に大人っぽい雰囲気をもたせているからとのこと。
なるほど、納得です。
統一感のある絵柄は、不思議と他の食器とも馴染みます。
そのあたりは、北欧食器の雰囲気に通ずるものがあります。
馴染みのある呉須の絵付けは、なんだか私たち使い手にとって懐かしくもあり。
「日常食器でありながら記憶に残るものを、使う人の思い出とともにあるようなうつわと作りたい」とおっしゃる吉村さん。
みなさんの食卓でも、長く愛されることでしょう。