竹村聡子
ゆっくりと流れる時を感じさせてくれるうつわ
長野県松本市ご出身の竹村聡子さん。
愛知県瀬戸市で陶芸を学ばれます。
陶芸を始めた頃に観た画家・藤田嗣治氏の「素晴らしき乳白色」に感銘を受け、「彼の描く乳白色の雰囲気に近づけたいと思ううちに、肌理の細かい白磁土を選び、独自で研究して作った半艶消しの乳白色釉を使った表現から、私の制作は始まりました。」とおっしゃいます。
今回お届けいただいたのは、「昼」と「夜」の名が付いた2色の釉薬。
手触りは滑らか、見た目は柔らかでありながら、光によって色の見え方が異なる、深みのあるカラー。「昼」は白日、「夜」は闇夜を、始まりと終わりの色として表現されています。
ある日の深夜、仕事を終え、工房からの車で家へ向かう帰路で、闇の中を駆ける野生動物と出会い、夜が一日の始まりの生物がいることを、改めて気づいたことが、制作のきっかけとなったとのこと。
「始まっては終わり、終わっては始まりの繰り返しの中で、朝が待ち遠しかったり、夜が来てほっとしたり。昼と夜のどちらが始まりでどちらを終わりの色と感じるかは、その時々の受け手の機微でも変化すると思います。」とおっしゃいます。
そんな一日の移り変わりを纏った釉薬に宿る、銀彩の動物たち。
日々の身近な環境の中で生まれる感覚を制作に落とし込みながら、前職で携わった人形劇・人形アニメーションの影響を受けて、「animate=命を吹き込む」の意味を込め、経年変化で銀の色彩が変化することで、日の中で存在感を顕にしたり、闇夜にひっそり馴染んで消えていく動物たちの姿を表していらっしゃいます。
「言葉を持たない動物たちの眼と心は綺麗でまさに神の化身、または擬人化され寓話の中を生きる存在。身近に様々な動物がいる環境もあり、彼らが器の中でも長く生き続けられるように銀で描いています。
神と人間の間、日常と非日常の間に位置するようなものを、いつか一つでも生み出せたらと思っています。」
銀で描かれた彼らから伝わる、生命の神秘、力強さ、また儚さ。
時が経つにつれ、静かに変化する銀彩は、それらも共に過ごした時の証ともなります。
ゆっくりと流れる時を変化で感じることができる竹村さんのうつわ。
是非手にとってお愉しみください。



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