優しい物語が描かれた心穏やかな世界
気持ちよさそうにさえずる小鳥が二羽
実のなる木々が、その小鳥たちを優しく囲います。
小鳥のさえずりによって優しくぱっと明るく灯された世界は、眺めていると心穏やかに。
その世界は、物語のワンシーンを見ているかのよう。
長岡さんの陶芸技法は、掻き落とし。
赤い土に白い泥を塗り、乾いてから削って模様をつける技法です。
「その時の想いを大切に」
キャンバスに絵を描くように、一彫り一彫り丁寧に彫り上げられた後、下絵具でほんのりと色がついた世界は、薪窯の灰と長石を使った自然素材の釉薬をかけて焼くことで、艶のある釉薬のガラス質によって、まるで宝石を纏ったように、うつわの中でキラキラと輝き続けます。
うつわにぎゅっと閉じ込められた物語がキラキラと輝いている様子をながめていると、長岡さんが釉薬をかけ、焼く工程が、まるで魔法をかけているかのように感じます。
ずっと眺めていたくなる可愛さです。
小ぶりのピッチャーは、コーヒージャグや、ティーポット、湯冷しを入れて使うイメージで。
さっとまとめた花束をいけて花器としても。
ピッチャーは、ひとつひとつ形も絵柄も異なる1点もの。
優しい物語が、心穏やかな温かい時間に寄り添います。
長岡さんの作品は、ガラス質で艶のある、細かな貫入がとても美しい表面となっております。
釉薬だまりは、特にガラスのようにキラキラと光り、光の当たり方、眺める角度によって色目も違って見え、たくさんの表情をみせてくれます。
「使っていくに少しずつ変化するうつわの趣も楽しんでいただけたら」とおっしゃる長岡さん。
たどり着いたそれぞれの場所で、さらなる物語を重ねていただけますように。