村田一紗(tou)
木と対話しながら年月の物語を紡ぐうつわ
三重県の中部に位置する三重県多気郡大台町。町土の約90%以上を森林が占める、緑豊かな静かな町。
そんな生活と仕事のバランスが心地よく流れる場所で、住居と工房を構える村田一紗さん。
大阪芸術大学短期大学部で版画を専攻。卒業後は、漠然と「ものづくりがしたい」と就職先を探されている中、長野のある工房に出会います。
その工房は、木工、鉄、ガラス、石など様々な素材を扱い、それらを組み合わせて、家や店舗、家具の設計、制作までの全てを行う工房。
まだどんな素材を使ってものづくりがしたいか絞り切れていなかった村田さんにとって、とても有難い場所だったとおっしゃいます。
約4年間、その工房で、ものづくりについて一から教わりながら、テーブルや椅子などの制作の経験を積まれます。
地元三重県多気郡明和町に帰郷後は、独立を前提に、結婚式場で、大道具や、ウエディングアイテムなどをつくるお仕事も経験。
その後、本格的にものづくりができる環境を整えるため、工房探しを始められます。
そんな中、木工作家吉川和人さんが三重県多気郡大台町に広大な山林を所有するトヨタ自動車のバックアップを受けて運営をされているプロジェクト「森へ行く日」の工房を訪問。工房の一部を間借りをさせてもらえることに。
自然豊かなその場所で制作をスタートされます。
独立する際に名付けた屋号の「tou(とう)」の持つ意味。そこには村田さんのものづくりにおける想いが込められています。
村田さんとってものづくりは、自分自身を表現する場であり、芯になる大切なものという意味あいを持つ 「董(とう)」
自分の作る作品に対してこれがいいとはっきりと言い切れる、自分自身で作品の価値を見出せる作品づくりをするために、自分自身と向き合って、問いながら手を動かしていきたいと願う 「問(とう)」
ものづくりをする中で、色んなものを吸収できるよう、常に透明度高くいたいと思う 「透(とう)」
村田さんがつくるものが、手にした方の日常に溶け込んでほしいという願いを込めて 「to you(tou)」
村田さんとって、「自分が自分らしくいられる場所」であるものづくり。
そんな大切な場所を「tou(とう)」と名付け、それらの想いを忘れず、日々制作を続けられていらっしゃいます。
ほんわかした柔らかな雰囲気を持つ村田さんですが、物事を決めるときは、わりと直感で即決することが多いとおっしゃいます。
作品制作に関しても、その木が持つとっておきの表情を見極め、あえて図面を引かず、手を動かし、仕上げていきます。木と対話するような感覚で仕上げらた作品からは、木のこれまでの年月の物語を感じることができます。
「来る日も来る日も木という個体とひたすら向き合って生まれた作品たちを、手に取って何かを感じたり、喜んでいただけたのであれば、こんなに嬉しいとこはありません。」とおっしゃる村田さん。
森で育んだ物語は、辿り着いた食卓から始まる新たな物語へ。
思い出を重ねながら、共に紡いでいただけますように。




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